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浜松医科大学

浜松医科大学 理事・副学長
はままつ次世代光・健康医療産業創出拠点 研究統括
山本 清二様

医療と工業の「医工連携」に期待

「医工連携」は、平成10年くらいから発信されていたが、なかなか成果が出なかったり、医学と工学の研究にシフトしていた時期があった。本来ならば「医工連携」の本質的なところは患者さんのためになる装置を作って実現すること。医学と工学の研究自体は必要なことだが、それだけだと現実的にモノを作ることはできない。患者さんのための成果を出すために、医療と工業の医工連携を目指した。医療は治療の領域、工業はものづくりだから、どちらも実学。患者さんを治すこと、治療することを目的として、浜松を拠点に浜松次世代光・健康医療産業創出拠点(通称 はままつ医工連携拠点)をここに立ち上げて今に至る。

8年間で8つの成果物

医療側の「こういうものが欲しい」という現場の課題を、ものづくり企業さんの技術と力を借りて、具体的なモノを作り上げて医療現場で使わせていただくスタンスで行っている。浜松の企業さんは、いわゆる「やらまいか」精神に代表されるように、まず作ってみようやってみようと言う気合が多々あり、企業側からも積極的な相談もたくさんあって、恵まれた環境にあると思う。平成23年からハミングが実質的に稼働していて8年目。医療機器として8つ成果が出ている。具体的な成果がいち早く出ていて、拠点としては珍しいと思う。医療現場の問題を解決することを、企業さんの力を借りて少しでも早く実現したい。

初代拠点長から続くハミングとの連携

この地域を長い間まとめてこられた初代拠点長の吉田勝治さん(故人)という方がいた。企業の経験もあり、JSTの役職もしていていわゆる顔の広い、まとめる力のある方だった。その吉田さんが、ハミングの創立に力を注いでいた。吉田さんは協同組合の形式でいくつかの企業が集まれば、それぞれ企業のノウハウをみんなで共有して、1+1+1+1を4にするのではなく、6倍にも8倍にもできるようになると考えていらした。吉田さんが拠点長だったこともあり、いち早くハミングさんとはお付き合いが始まっている。

浜松のものづくり技術を医療へ活かす

この地域には、光電子技術・イメージング技術やものづくり技術が多い。また、ソフトウエアの企業もたくさんある。今までに、光学式で患者さんの体の表面の形を計測して、そのデータを元にカーナビのように手術式のナビゲーションを行える装置や、音と光の技術を融合させてのどの奥の声帯に音を同期させて光の周期を調整してスローモーションで撮ったりできるような内視鏡のシステム、静岡大学と共同開発した指の先で患者さんの酸素の状態をみる光を使った装置などを開発した。また、ものづくり技術のモノとしては、バイトブロックといって、全身麻酔の時に入れる管や舌を傷つけたりしないように口の中を守る装置を材質と形状を工夫し開発した。

ハミングさんは金属加工がメイン。医療器具の方に技術を派生できるのではないかと思っている。
ネジを使ったレゴのような器具は、従来から使われている作業療法がより効率的に楽しくできるようになるためにリバビリテーションの現場の理学療法士や作業療法士などと協力して開発している。ものはほぼ完成していて、これはますます広がって行くと思う。イメージング秘術・ソフトウエア技術・ものづくり技術で具体的なものができている。

ハミングに期待すること

ハミングさんは4つの企業がそれぞれの技術を強めながら、持ってないところを補いながら、自分たちの持ち味を活かす協同組合だと思っている。うちの技術はこれがある。それとそれを合わせて新しいものを作ろうよ。とハミングの中でできる。そして機動力もある。まずやってみようって。我々が現場で必要にしているものをより早く具体的にしてくれると思っている。

染色バスケットも、「こういうものがあるといいのに」と言う医療現場の希望が出発点にあった。そこから、それはこういう技術でできますと具体化されて生まれた製品。こういうものが欲しいね、できますね、というきっかけから迅速に具体的なサンプルができて、それをもとにして、もう少しよくするにはどうしたらいいかと改良を重ね実用化するモデルケースになると思う。これからどんどん製品が多くなると期待している。